地下室の・・・

またしても、オーストラリア映画祭


『バッド・ボーイ・バビー』

Bad Boy Bubby
1993年、113分・35mm・カラー


監督:ロルフ・ドゥ・ヒーア
撮影:イアン・ジョーンズ
音楽:グレアム・ターディフ
出演:ニコラス・ホープ、クレア・ベニート


バビーは「悪い子」だからと、母親に命じられるままに地下室に閉じこもったまま、母親と二人で30年以上暮らしていた。外に出ると空気中の毒で死んでしまうと信じ込んでいたバビー。父親が戻ってきたことから、外界へ出ることとなるが、そこは地下の密室以上に奇妙な世界だった…。オーストラリア映画界の鬼才、ドゥ・ヒーアの映画のなかでも特にカルトな作品。ヴェネチア映画祭審査員特別賞など多数受賞。


久々の大当たり!
母親と2人の世界ってぇ事は…
その辺の歪んだ関係性は隠す事なく丁寧に描写。
映画祭上映の為、目障りなモザイクがないのも良かった。(モザイクほど興醒めするもんはない。そんなに自分のパンツの中が恥ずかしいか?それとも映倫のオッサン共はフェチなんか?他人の作品にまで自分の趣味押し付けて、モヤをかけて興奮しとんのか?)
死、家族、宗教…と映像で雄弁に語りながらもちゃんとエンターテイメントとして魅せる。笑わせるのに考えさせる。ブラボ〜!!
監督の背景(アボリジニ)故かも知れんが、マイノリティとされる人々(ゲイ、障害者)が日常として登場するのも良かった。障害者=純粋無垢ってな差別表現ではなく。
美徳として描かれがちな「敬虔な信者」の危険性、神の名を免罪符に行われる数々の愚考などもエスプリ効かせつつ批判。
ママやパパが彼に吐く暴言を意味も分からず(分からないからこそ出来るんだが)、がなってライブハウスの人気者になるなど、皮肉も楽しい。
しかもパパ(聖職者)の出で立ち。父親と神父で意味をかけている。


猫の死骸のつくりものが意外に上手くて、一瞬ドキッとした…
以前だったら、本物か?と映画の内容如何に拘らず、死骸がずっと引きずってしまったが、職業病がこんな所で役立つとは